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自動化プロセス:リン酸塩コーティングの品質管理

自動化プロセス:リン酸塩コーティングの品質管理

Phenom Programming Interfaceを使用した
自動化ツールの開発に対する洞察

リン酸塩コーティングは、腐食を防ぐために、または潤滑性を向上させるために金属の表面処理に使用されます。リン酸塩コーティングの性能は、コーティングの結晶形態と被覆率に強く依存します。被覆率は、反射電子検出器を搭載した走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して測定することができます。これは、リン酸塩結晶と被覆されていない表面で、画像のコントラストが異なることを利用します。品質管理プロセスでは、何百枚もの画像を分析し、広範囲のコーティング表面を評価する必要がありますが、自動化スクリプトによってこの分析の効率と精度が大幅に向上します。

リン酸塩コーティングは、鉄を腐食から保護するために、潤滑層やコーティングの ベース層として自動車産業において頻繁に使用されています。一般的には、マンガン、 鉄および亜鉛がこれらのコーティングに使用されています。リン酸亜鉛コーティング は、自動車産業で高い耐食性を必要とする部品に広く使用されています。 リン酸亜鉛コーティングでは、浸漬処理またはスプレー処理によって被膜が形成 されます。リン酸マンガンコーティングは、一般的には浸漬処理によって被膜が 形成され、腐食を防止し潤滑性を高めるために使用されます。リン酸鉄コーティングは、 浸漬処理またはスプレー処理によって被膜が形成され、構成材料によっては、その後のコーティングのためのベース層として必要とされます。

品質管理プロセスにおいて、コーティングの性能は、その形態学的特性を分析することによって評価されます。微細結晶構造は耐食性にとって有益ですが、油を含浸させた粗粒構造は耐摩耗性を改良するのに理想的です。同様に重要なのは、コーテ ィングの表面被覆率の評価です。

企業が現在取り組んでいる主な課題の1つは、品質チェックを生産ラインに組み込むことです。迅速なフィードバックを提供する分析は、作業効率を上げるための鍵となり、SEMはコーティングの品質チェックのための強力なツールとなります。ほとんどのSEMは熟練したオペレーターと多大な投資を必要としますが、Phenom SEM は、スピーディかつ低コストで使いやすい装置を提供します。Phenom SEMは、 自動化ツールであるプログラミングインターフェース(PPI)と組み合わせることにより、生産工程の効率と信頼性を高めます

リン酸塩コーティングの反射電子像

反射電子像は、サンプル表面の組成情報を提供します。炭素のような軽元素は、 鉄のような重元素よりも暗く見えます。鉄材料上のリン酸塩結晶を観察するときにも同じことが起こります。図1に示すように、鉄よりも軽いリン酸塩はより暗く見えます。

図1:リン酸亜鉛でコーティングした鉄表面の反射電子像
低加速電圧で反射電子観察を行うと、材料由来のコントラストが
得られます。   

反射電子像のコントラストを利用して被覆率を測定する際には、グレースケールレベルの閾値を設定する必要があります。閾値を超える強度を有するピクセル(明るいピクセル)は鉄表面、閾値を下回る強度を有するピクセル(暗いピクセル)はコーティングされている部分とみなされます。

PPI:自動化が不可欠な理由

反射電子像のコントラストを利用して被覆率を測定する際には、グレースケールレベルの閾値を設定する必要があります。閾値を超える強度を有するピクセル(明るいピクセル)は鉄表面、閾値を下回る強度を有するピクセル(暗いピクセル)はコーティングされている部分とみなされます。

図2:コーティングされたサンプルの品質をチェックするためのPPI スクリプトのユーザーインターフェース – 取得ウィンドウ 
図3:コーティングされたサンプルの品質をチェックするPPIスク リプト のユーザーインターフェース – 分析ウィンドウ 
Phenom 卓上SEMの利点

品質管理の行程では、コーティングサンプルの被覆率を定期的にチェックします。分析は通常、生産ラインから離れた場所にある測定ラボで行われます。測定ラボへのアクセスは手間とコストがかかり、結果が得られるまでに時間がかかる場合があります。その結果、生産にも遅れが生じます。Phenom SEMシステムは生産ラインの近くに設置することができ、結果が出るまでの待ち時間を解消します。さらに、コーティングの被覆率を分析するためのPPIスクリプトにより、専属のオペレータや設備の追加をせずに、確実に分析を行うことができます。PPIとPhenom SEMの組み合わせは、コーティングの被覆率と結晶形態を低コストで迅速にチェックできる、使いやすいツールになります。

参考文献

Louda, P.,「自動車産業における薄膜コーティングの応用」
Journal of achievements in Materials and Manufacturing Engineering 24.1 (2007): 51-56.

Phenom XL

大きな試料室で多才なモデル

  • 高輝度・長寿命のCeB6電子銃搭載
  • 分解能 反射電子 10 nm / 二次電子 10 nm (オプション)
  • 多検体の自動測定や傾斜・回転、その場観察